自然に周囲に自分よりちょっと上、つまり「ワンランク上の人物」というイメージを持たせる人がいます。彼らの存在は、気配りや社交性を持ちながらも、常に他者を一歩引かせるような特別なオーラを放っています。何が人を「ワンランク上」と感じさせるのか? その秘密を探ります。
ワンランク上、それはずばり「上質感」
「ワンランク上」このようなイメージを持つ人には、どこか近寄りがたい雰囲気がありますが、それは他者に不安や恐怖を抱かせるような冷たい近寄りがたさではなく、まるで美術品を目の前にしたときのような「畏敬の念」を感じさせます。怖くはないのにこちらのほうが自然に半歩あとずさるような感じです。
この感覚の招待は、ずばり「上質感」です。上質感とは辞書を引くと「品質がすぐれていること。質がよいこと。また、そのさま。(「大辞林」より)」とあります。つまり、人が持つ上質感とは「人として優れている様子」ということでしょう。
それでは、一般人の私たちよりどこかすぐれた様子とは、どんな部分で感じることでしょうか。これについて知ることは、誰にとっても大切なことです。なぜならば、キャリアが上がりリーダー的ポジションになっていくにつれて、部下や後輩など自分をロールモデルと見る人が自然と増えてくるからです。そのときに人として、一段、二段上にいると感じてもらえることは自分にとっても相手にとっても必要となってくることです。
上質感を感じさせる人の4つの特徴
「一流」と呼ばれる人の多くは、この「上質感」を自然に身にまとっています。その人たちには以下のような共通した特徴があると言えます。
1 言葉や行動に品がある
無理のない自然な丁寧さ。気負わず誰にでも一定の丁寧語で話しかけます。相手に対する配慮が感じられる言葉選びをし、偏見のある言い方をしません。人やものをぞんざいに扱うことなく、声の音量に気を付け、無駄のない立ち居振る舞いをしています。
2 ふだん温和な雰囲気だが、メリハリもある
人を尊重し、周囲を和ませるような空気を作ります。始終ニコニコしているわけではないですが、柔和な表情をして、人への挨拶や言葉がけも率先して笑顔で行います。ただし、言いたいことはきちんと言います。ただし、怒りなどの感情にはのみこまれず、上手にコントロールしている印象です。
3 経験値や知識の深さがにじみ出ている
文化や振る舞いに関する造詣が深そうですが、知識をひけらかすのではなく、必要なときに適切に情報を提供するような態度です。立ち居振る舞いが洗練されていて、どんな場面でも合わせていけるような自信と落ち着きがあります。
4 謙虚だが堂々としている
強く自己主張するようなことなく、控えめな印象です。しかし、卑屈に感じることがなく、自然に堂々としている様子を感じます。いたずらに人と争うことなく、できるだけきちんとコミュニケーションを取ろうとします。物事の俯瞰的な見方ができているように見受けられ、人や事柄を色々な面から見ようとします。
威張った冷たさは「上質感」とは無縁
本当に成功している人や社会的に高い地位にいる人ほど、謙虚さや丁寧さが際立ちます。例えば、新人社員が出したお茶に対しても、しっかりと目を見て「ありがとう」と言える。依頼をするときも「少しお時間いいですか?」と一言添える。このような些細な行動が、相手に「尊重されている」と感じさせ、自然に「上質感」が漂います。
一方で、威張った態度や冷たい対応をする人は、近寄りがたいというより「近寄りたくない」と思わせてしまいます。これは「上質感」とは真逆の印象です。
リーダー的なポジションにつくと、「威厳を持ちたい」「近寄りがたいと思わせたい」と考えることから、居丈高な態度を取り、わざと冷たい様子を見せたり、人を呼び捨てにするなど、ことさらに自分を上位に見せようとする人がいます。これでは上で言ったように「近寄りがたい」ではなく「近寄りたくない」と思われ、尊敬ではなく逆に軽侮の気持ちを引き寄せるような行為です。
誰もが「そんなことを自分がするわけがない」と思いますが、自分では無自覚にそうしてしまっている人は実は少なくありません。
現在では、そのように部下や後輩に接しようものなら「パワハラ」と言われることになるでしょう。しかし、それでも自分で無自覚なまま威張った冷たい態度になっている人は後を絶ちません。これからリーダー的役割を担っていく人は特に気を付けてください。代わりに「上質感」を目指すことをおすすめします。
「ワンランク上」そう感じさせることができれば、自然と人はついてくるのです。
「堂々と/凛とした表現力」が上質感を引き立てる
さて、上で言った「人が持つ上質感のポイント」を再度確認します。
1 言葉や行動に品がある
2 ふだん温和な雰囲気だが、メリハリもある
3 経験値や知識の深さがにじみ出ている
4 謙虚だが堂々としている
こうやっていると、堂々としながら、謙虚で優しい。品があって、どこかしっかりした芯を感じさせる人間像が思い浮かびます。「堂々としている」というのは、相手に対して自分をオープンにし、自然体で接することですが、押しつけがましさや過剰なアピールとは無縁で、むしろ自信と落ち着きが表情や態度に現れている状態です。女性の場合は「凛とした雰囲気」という表現の方がしっくりくるかもしれません。
自信と落ち着きを手に入れるには、実は自分をしっかりと見つめ、理解を進めていくことが重要です。自分の強みや課題をしっかり認識することはもちろん、自分を大事にし、自分が望むことを自分でちゃんと知ってあげることです。
それが堂々としながら人間的な温かみも持ち合わせた人を育てていくのです。このこともぜひ忘れないでください。
上質感を身に着けるための「形」を実践する
さて、ここまで人が持つ「上質感」のポイントを整理してきましたが、中身を磨いていくのは大変なこと。それよりも中身を入れる器=「形」を作っていくほうが早道です。ぜひ、「上質感」を表面からでも真似てみましょう。成長や変革には「形」から入り、「中身」を充填させていく方法もあります。
「上質感」を身に着けるには、上昇していくことです。いま完全でなければならないことはないのです。できることから実践しながら人としての質をあげていくーそんな風にトライしていきませんか?
今日からできるアクションをはじめましょう。
●背筋を伸ばしてお腹に力を入れ堂々とした姿勢を保つ
●口角を上げる
●相手の目をきちんと見て話す
●言葉はゆっくりめに、相手に伝わることを考えて話す。
●どんなときでも「ありがとう」を言葉と態度で丁寧に伝える
●自分の相手に関心を持ち、尊重の気持ちを示す
●自分の気持ちをあらためて確認するようにする。
●日々改善を楽しむ
上質感は、外見や立場だけではなく、日常の行動や態度からにじみ出るものです。そして、それがいわゆる「オーラ」に見えたり、周囲からの自然な信頼や尊敬を引き寄せます。そのような風格を持つことが本当の威厳ではないでしょうか。
実際、エグゼクティブプレゼンス(=上に立つ人の資質、リーダーシップの重要な一部)はこのような雰囲気が作り出すものです。そのため、外見を磨くだけではなく、自己理解やマインドセットもトレーニングの上で重要なパートなのです。
このページで何かいいなと思われたtことがあったら、小さなことからでも実践し始めてください。
(まだエグゼクティブプレゼンスをよく知らない方はこちら)